筆致ハイカー2

これはタクシーの運転手のAさんが体験したという、本当にあった嘘の話です。





その日は夏の終わりで、じめじめとして気持ちの悪い日だったそうです。深夜、人気のない暗い山道を走っているとき、Aさんは、タクシーを呼び止める一人の女性がいるのに気が付きました。その人は真っ白い服を着ていて、俯いた顔は長い髪に隠れて見えませんでした。

こんな時間のこんな場所にお客さんなんて変だな、おかしいな、と思ったそうですが、素通りするわけにもいきません。タクシーを停めて、その白い服の女性を乗せたんだそうです。

「どちらまで行かれますか」

そう尋ね終わらないうちに、女性は消え入りそうな声で、ぼそぼそと答えました。

「B霊園まで・・・」

B霊園は、この山の中腹にある古い墓地です。夜中に墓地に行くなんて、Aさんはいよいよ薄気味悪く感じはじめましたが、さすがはプロといったところでしょうか、お客のことを詮索するのも野暮だと感じ、何も言わずに車を走らせたのだそうです。



B霊園につくまであと少しというところで、Aさんは目を疑ったといいます。路肩にまた誰かがいるのです。そう、それは、ずっと後ろの席に乗せていたはずの女性でした。俯いた顔は長い髪に隠れて見えませんでしたが、はっきりこちらを見据えているのがわかります。

どうして?まだ降ろしていないのに?・・・さまざまな考えがAさんの頭の中を駆け巡りましたが、何が起こっているのかまるで見当がつきません。そこで、恐る恐る後部座席を確認すると・・・



驚いたことに、先ほどの女性はちゃんとまだ乗っていました。





「相席ですがかまいませんか」

Aさんはタクシーを停めるとそう言い、新しいほうの人もまた乗せたんだそうです。その人は消え入りそうな声で、ぼそぼそと

「C霊園まで・・・」

と言い終わらないうちに、最初に乗ってきたほうの女性と目が合い「は???」と言いながらのけぞっていたそうです。元々乗っていた彼女も明らかに動揺しているらしく、さっきまであれほど無口だったのに「え?あれ?うそ、あれこれ私?なんで?えっ待って一回待ってなにこれ・・・」などと小声でぶつぶつ言っているのが聞こえたといいます。

Aさんはいよいよ薄気味悪く感じはじめましたが、さすがはプロといったところでしょうか、お客のことを詮索するのも野暮だと感じ、何も言わずに車を走らせたのだそうです。



B霊園につくまであと少しというところで、Aさんは三度目を疑ったといいます。路肩にまた彼女がいるのです。後部座席のふたりも、目を丸くして顔を見合わせていました。しかし3人目ともなると怖さも薄れ、Aさんはだんだん面白くなってきたそうです。





128人に達したあたりで一旦切り上げたそうですが、こんど球団ができ、来シーズンから地元の独立リーグに参加することになったとのです。ぜひ応援してくださいね。
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