昔途中まで書いてて飽きたっぽい散文発掘シリーズ01



「怖太郎」(2017/10/07)
怖太郎は、めちゃくちゃ怖い太郎です。タクシーに乗るといつのまにか消えていて座席がびしょびしょになっているし、崖のところで「死ねばよかったのに」と言います。廃墟に行けばバラバラになって左右から来るし、田んぼで踊っているのを見てしまうと気が狂うそうです。全身から刃物が生えており、十徳ナイフの元ネタは怖太郎だと言われています。

桃太郎が桃から生まれたように、金太郎が金から生まれたように、怖太郎は怖、つまり人々の恐怖心から生まれた存在です。出自がおばけと同じなため、おのずと性質も似通うのです。多くのおばけが塩に弱く、塩をかけると消えるのと同じように、怖太郎も塩太郎と握手すると消えます。

怖太郎にとっては塩太郎こそが恐怖の対象であり、怖太郎は塩太郎のことを怖太郎と呼んでいます。

しかし、このことから塩太郎は怖太郎としての性質も併せ持つこととなり、自身の全身に付着した塩によって除霊されてしまうのです。ゆえに塩太郎はもうこの世に現存していません。

怖太郎は自身が弱点とするものを素直に恐れる心を持っているがゆえに、すぐに恐れ、怖がり、その対象を怖太郎扱いします。怖太郎のレッテルを貼られた怖太郎キラーが自身の力によって消滅してしまうということは先の塩太郎事件によって皆に知れ渡っているため、みんな怖太郎に怖がられないよう必死でご機嫌を取りに行きます。怖太郎はそうして怖太郎を中心としたコミュニティを作り上げてゆくのです。最近の研究によると、怖太郎はこの一連の流れをすべて故意でやっていることが明らかになっており、怖太郎がフィジカルだけでなくメンタルの部分でも怖いということが分かります。

怖太郎によく似た、小布太郎というのもいます。小布太郎は名前の通りちいさい布の太郎で、ちいさい布はかわいいので全然怖くないのですが、名前でよく間違えられるため困っています。怖太郎に対して恐怖心よりも迷惑心のほうが勝っている世界で唯一の存在なので、対怖太郎戦においての今後の活躍が期待されています。


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